永田皐月と小林董洋、それぞれの印鑑製作工程をご紹介いたしましょう。

ここでは今までご紹介した独自書体ではなく、遠く秦〜漢の時代から用いられてきた篆(てん)書を例に、
印稿製作〜荒彫り〜仕上げに至る流れをご覧に入れます。

写真はどれも

永田 皐月、彫刻中小林 董洋 彫刻中



永田 皐月 印稿製作中小林 董洋 印稿製作中

実際の仕上がりに近い綿密なデザインを紙に書き表したものを「印稿」と申します。
と、それぞれ書き上がった印稿のアップがご覧いただけます。
当店ではご注文いただいてから約2週間以内に印稿を製作し、メールにてお送りします。
そしてお客様のご承認をいただいてから彫刻を開始致します。
お客様には「出来上がる前に完成品のイメージをつかめるのでとても安心だ」と大変好評です。

上の写真では二人とも篆書で「長尾清明」という印鑑の印稿を製作しておりますが、
同じ書体とは思えないほど大いに印象が異なるのがおわかりいただけるかと存じます。
永田 皐月は秦代に制定された、優美な曲線に特徴のある「小篆(しょうてん)」調を得意としており、
一方の小林 董洋は漢代に広まった、重厚で精緻な直線系の「印篆(いんてん)」を追求しています。
同じ文字でも作家の個性によって異なる作風が、手書き印稿ならではの豊かな味わいです。



永田 皐月 粗彫り中小林 董洋 粗彫り中

荒彫りとはその名の通り、文字以外の不必要な余白箇所を大まかに彫り除いていく印鑑製作工程を指します。
ボリボリと小気味よい音を立てつつ彫り進める爽快感は、印鑑職人でなくてはわからないかもしれなせん。
と、荒彫り工程終了段階のアップがご覧いただけます。
不要な部分を彫り除いたというだけで、かんじんの文字線はまだボッテリと太く残っているのがわかります。

しかし、荒彫りだからといって決して「荒っぽく」彫っているわけでは、もちろんありません。
次の仕上げ工程でより細密な技巧を駆使するために、十分慎重かつていねいに彫り上げます。
なお、この荒彫り段階では、完成品の彫刻品質になんら影響のない余白域の切削において、
部分的に機械・器具を用いることもございます。



永田 皐月 仕上げ中小林 董洋 仕上げ中

ここからが印鑑職人たる腕の見せどころ。思い描いた完成イメージに向けて、渾身の仕上げに挑みます。
文字の余分な肉をそぎ落としながら「生き生きとした文字線を創り出す」、まさに印鑑製作の真骨頂。
全神経を集中し、ひたすらミクロの世界を刻む妥協なき姿は、歌人でさえ近寄り難い“気魄”に満ちています。
と、仕上げ工程段階のアップがご覧いただけます。

荒彫り工程終了の段階では単なる太い線のだったものが「表情豊かな生きた文字」に変貌を遂げています。
2本の完成品は永田皐月・小林董洋の個性と技量が遺憾なく発揮されており、同じ書体・同じ彫刻文字でも
まったく別の文字が彫られてある印鑑のように見えるほど、それぞれに異なった「顔」を持っています。

こうして彼らだけの【世界に1本】の作品が誕生します。
そして持ち主様とともに長い年月を歩む中で、その権利や財産をしっかりと護り通すのです。
それこそが本来、印鑑が持つ何より重要な役割だと、永田 皐月・小林 董洋ともに強く思っています。



永田 皐月・小林 董洋

印鑑は食べ物などと違って、一般のお客様が必ずしもその良し悪しを
明確に判断できるという性質の商品ではないかもしれません。
だからこそ私たちは決して手を抜かず、気を抜くこともなく、
お客様から縁あって頂戴したご注文に全力で製作いたします。
私たち自身も胸を張れる作品をお納めすることをお約束します。
を、ぜひともご一読ください。



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